最新公表過去問題(第一種)を解く①

久しぶりの投稿になりました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

今回の出来事によって、受験の日程を調整されたりと、予定が変わってしまわれた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

さて、今日からは、公表過去問題の解説をしていきたいと思います。

公表過去問題は、安全衛生技術試験協会から過去2回分の試験問題が公表されており、正解は、5つ選択肢の隣に〇がついています。

ただし、どうしてそれが正解なのか、解説はついていませんので、それぞれの選択肢について解説をつけて、ご説明していきます。

では、早速、令和2年4月の公表過去問題から見ていきましょう。

まずは、科目としては、「関係法令(有害業務に係るもの)」です。

問1

ある製造業の事業場の労働者数及び有害業務等従事状況並びに産業医数及び衛生管理者の選任の状況は、次の①~③のとおりである。この事業場の産業医及び衛生管理者の選任についての法令違反の状況に関する(1)~(5)の記述のうち、正しいものはどれか。

ただし、産業医及び衛生管理者の選任の特例はないものとする。

①労働者及び有害業務等従事者状況

常時使用する労働者数は800人であり、このうち、深夜業を含む業務に常時500人が、著しく暑熱な場所における業務に常時20人が従事している

②産業医の選任の状況

選任している産業医は1人である。この産業医は、この事業場に専属の者ではではないが、産業医としての法令の要件を満たしている医師である。

③衛生管理者の選任の状況

選任している衛生管理者は3人である。このうち1人はこの事業場に専属でない労働衛生コンサルタントで、衛生工学衛生管理者免許を有していない

他の2人は、この事業場に専属で、共に衛生管理者としての業務以外の業務を選任しており、また、第一種衛生管理者免許を有しているが、衛生工学衛生管理者を有していない。

(1)選任している産業医がこの事業場に専属でないことが違反である。

(2)選任している衛生管理者数が少ないことが違反である。

(3)衛生管理者として選任している労働衛生コンサルタントがこの事業場に専属でないことが違反である。

(4)衛生工学衛生管理者免許を有する者のうちから選任した衛生管理者が1人もいないことが違反である。

(5)専任の衛生管理者が1人もいないことが違反である。

【解答・解説】

(1)正しい。

これは違反になります。産業医の専属要件は、常時1000人以上の労働者を使用する事業場又は深夜業を含む業務等の有害業務に常時500人以上従事させる事業場になります。設問より有害業務に500人以上従事していることから、専属で選任しなければなりません。(安衛則第13条第1項第3号)

(2)誤り。

違反ではありません。衛生管理者数は事業場の規模(常時使用する労働者数)で必要な選任数が定められており、500人を超え1000人以下の事業場の規模では3人以上でよいとなっています。(安衛則第7条第1項第4号)

(3)誤り。

違反ではありません。衛生管理者を2人以上選任する場合、その中に労働衛生コンサルタントがいる時は、労働衛生コンサルタントのうち1人は専属でなくともよいとなっています。(安衛則第7条第1項第2号ただし書、同則第10条第3項)

(4)誤り

違反ではありません。著しく暑熱な場所における業務は、労基則第18条第1号に該当し、常時500人を超える労働者を使用する事業場で、この有害業務に常時30人以上が従事する事業場では衛生工学衛生管理者を選任しなければなりませんが、当該業務に常時従事する人数が30人未満なので、選任する必要はありません。(安衛則第7条第1項第6号)

(5)誤り

違反ではありません。著しく暑熱な場所における業務は、労基則第18条第1号に該当し、常時500人を超える労働者を使用する事業場で、この業務に常時30人以上労働者が従事している事業場は、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければなりませんが、当該業務に従事する人数が30人未満なので、選任する必要がありません。(安衛則第7条第1項第5号)

第一種の試験では、有害業務に係るものの科目で、このような「産業医」「衛生管理者」を中心とした、衛生管理体制のことが必ず出題されます。有害業務に従事している事業場では、通常の事業場と比べ、衛生管理体制が手厚くなります。文章問題で、一見わかりづらいのですが、何度も演習を重ねて解けるようになりましょう。