衛生委員会は、労働安全衛生法で全ての業種において、50人以上の事業場に設置が義務付けられています。また、特定の業種においては、50人以上(一部の業種では100人以上)の事業場に安全委員会を設置しなければなりません。
衛生委員会は、衛生管理に関する調査審議を行い、事業者に対して意見を述べる場であり、事業所の労働衛生水準の向上には、衛生委員会が機能していることが重要と言えるでしょう。
衛生委員会と安全委員会は個別に設けてもいいのですが、安全衛生委員会を設置することもできます。だだし、安全衛生委員会では、安全に関する事項が多く審議される傾向にあるようですが、衛生に関する事項の審議が低調にならないように留意することが重要です。
■委員の構成
委員会の委員は、労働安全衛生法第18条第2項に次のように定められています。
①総括安全衛生管理者、又は総括安全衛生管理者以外の者で事業の実施を統括管理するものもしくはこれに準ずる者(例えば副工場長、副店長など)のうちから事業者が指名した者
②衛生管理者のうちから事業者が指名した者
③産業医のうちから事業者が指名した者
④当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
⑤作業環境測定士(当該事業所の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものを、事業者が委員として指名することができる)
以上で構成されますが、事業者は、①は1人、②~⑤の委員のうちその半数については、当該事業所に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならないとなっています。
委員会の議長は①の者がなります。
■調査審議事項
衛生委員会の調査審議事項は労働安全衛生法第18条第1項に次のように定められています。
①労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること
②労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること
③労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること
④労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項
さらに、上記④に含まれる事項として、労働安全衛生規則第22条において、次の11の事項が定められています。
ア)衛生に関する規定の作成に関すること
イ)労働安全衛生法第28条の2第1項又は第57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置(リスクアセスメント等)のうち、衛生に係るものに関すること
ウ)安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る)の作成、実施、評価及び改善に関すること
エ)衛生教育の実施計画の作成に関すること
オ)労働安全衛生法第57条の4第1項及び第57条の5第1項の規定により行われる化学物質の有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること
カ)労働安全衛生法第65条第1項又は第5項の規定により行われる作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること
キ)定期に行われる健康診断、労働安全衛生法第66条第4項の規定による指示を受けて行われる臨時の健康診断、労働安全衛生法第66条の2の自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること
ク)労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること
ケ)長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること
コ)労働者えの精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること
サ)厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること
衛生委員会が期待されていることがよくわかりますね。
■委員会の開催
労働安全衛生規則第23条において、「安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会を毎月1回以上開催するようにしなければならないと定められています。
このほか、災害の発生時等、特別な場合は必要に応じて臨時の委員会を開催する場合もあります。
また、委員会における議事録(重要な議事に係る記録)は、3年間保存しなければなりません。
■議事の概要の周知
労働安全衛生規則第23条第3項において議事の概要を次のいづれかの方法により、労働者に周知するよう義務付けられています。
①常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること
②書面を労働者に交付すること
③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること
つまり、議事録はいつでも労働者に見れるようにしておきましょうということになります。